GoogleのAIによる概要、指名検索の大半に表示へ 9月に何が変わったのか

Soedja Editorial Team2分で読めます

要点

  • DemandSphereが追跡する指名検索のうち、AIによる概要(AI Overviews)が表示された割合は2026年9月1日時点で約26%でした。9月27日に90.5%のピークを記録し、9月29日には82%となりました。
  • Googleはこの変更を発表していません。Nectivの共同創業者Chris Long氏による別の調査では、エンタープライズ企業100社中93社のブランド名検索でAIによる概要が確認されました。
  • 指名検索のクリックへの影響はまだ測定されていません。過去の研究結果は正反対です。Seer InteractiveはAIによる概要が表示されるクエリでオーガニックCTRが61%低いと報告した一方、Amsiveは概要付きの指名キーワードでCTRが18.7%上昇したと報告しています。
  • インドネシアの検索の92.3%はGoogleが占め、AIによる概要は2024年9月からインドネシア語で提供されています。インドネシアのブランドは影響を受けている前提で、今すぐ自社の指名検索結果を点検すべきです。

ブランドが最後まで支配していると思っていた検索結果

20年にわたり、自社名の検索はマーケティングで最も安全な領域でした。ユーザーがブランド名を入力すれば、ブランドの公式サイトが最上位に表示され、クリックが続く。SEOチームは指名トラフィックを競争の場ではなく健全性の指標として報告してきました。Googleが2025年末に導入したSearch Consoleの指名クエリフィルタも、同じ前提に立っています。指名需要は自社のもの、非指名需要は奪い合うもの、という前提です。

2026年9月、その前提が揺らぎました。検索インテリジェンス企業DemandSphereが10月1日に公開したデータによると、オーガニック検索結果の上に表示されるGoogleの生成要約「AIによる概要」が、わずか1週間で大半の指名クエリに表示されるようになりました。同社は一連の指名キーワードを、全市場・全デバイスで1日1回計測しています。月の大半は、およそ4件に1件の検索でAIによる概要が表示されていました。そこで線が急上昇したのです。

26.1% 2026年9月1日に、追跡対象の指名検索でAIによる概要が表示された割合

90.5% ピークとなった9月27日の割合

3.1倍 月初から最終計測日(9月29日、82.1%)までの増加幅

指名検索におけるAIによる概要は4週間で3倍に

追跡対象の指名キーワードのうちAIによる概要が表示された割合(日次、2026年9月)

100%
50%
25%
75%
9月1日815229月29日
9月1〜15日の平均9月26〜29日の平均

出典:DemandSphere「AI Overviews on branded queries tripled in September」2026年10月1日。指名キーワードを1キーワードにつき1日1回、全市場・全デバイスで計測。ブランドが引用されているかどうかに関わらず、AIによる概要が表示されれば「表示あり」とカウント。オレンジは50%を超えた日。列にカーソルを合わせるかタップすると値が表示されます。

最終値と同じくらい、推移の形にも意味があります。最初の2週間は26%から35%の狭い範囲に収まり、平均は30.6%でした。9月18日以降、数値が跳ね始めます。ある日は57%、翌日は31%に戻り、2日後に47%、その後2日連続で約56%。外から見た段階的ロールアウトは、たいていこのような動きになります。テストグループに入るクエリの割合が増え、時折元に戻されるのです。9月26日以降、高い値はもう戻りませんでした。最後の4日間の平均は80.5%です。

DemandSphereのデータはまだ国・デバイス・業種別に分かれておらず、追跡キーワード数も公開されていません。これは確かな限界です。ただし独立した2つ目の調査があるため、1つのパネル特有の現象である可能性は低くなります。SEOエージェンシーNectivの共同創業者Chris Long氏は、SerpApiを使ってエンタープライズ企業100社のブランド名を検索し、Reddit、Salesforce、Mailchimp、Facebookを含む93社でAIによる概要を確認しました。本稿執筆時点で、Googleは公式な声明を出していません。

かつてブランド検索はブランド自身のサイトで終わっていた。今では、Googleがそのブランドについて書いた一段落で終わることが増えている。

すでに十分に答えられているクエリに、なぜAIによる概要を広げるのか

理屈の上では、指名クエリは生成回答にとって最も不要な場所です。企業名を入力すれば、通常は10本の青いリンクで用が足り、最上位の結果はほぼ正確です。ではなぜ、そこに推論コストをかけるのでしょうか。

考えられる理由は3つあります。いずれも公式には確認されていません。

指名検索の多くは純粋なナビゲーショナルではない。「Tokopedia」というクエリはナビゲーショナルです。しかし「Tokopedia 返金ポリシー」「Traveloka カスタマーサービス」「Kopi Kenangan はハラールか」「Gojek と Grab の運賃比較」は、どれもブランド名を含みながら、ユーザーが求めているのはトップページではなく答えです。ランクトラッカーもSearch Consoleもこれらを指名クエリに分類します。そしてまさにこうした情報型クエリで、AIによる概要はすでに主流になっています。

Googleは全面的にAIファーストの検索へ向かっている。対話型の検索タブ「AIモード」は、2025年9月からインドネシア語で利用できます。両方の機能を動かしているのはGeminiモデルです。指名需要の中心にまでAIによる概要を広げることは、生成回答が標準のレイヤーとなり、リンクが裏付けの証拠になるという製品の方向性と一致しています。

指名クエリは商業的な領域である。ブランド検索は広告主にとってGoogle上で最も価値の高いクエリの一つであり、だからこそ競合同士が互いのブランド名に入札します。指名検索結果の最上部にAIによる概要があれば、広告やオーガニックリンクより前にユーザーが目にするものが変わり、ページの中で最も商業的に敏感な部分に対するGoogleの影響力が強まります。

クリックデータが示すこと、そしてデータ同士が矛盾する理由

DemandSphereもLong氏もクリックは計測していないため、ブランドのトラフィックへの直接的な影響は分かっていません。できるのは、既存のCTR研究を丁寧に読み、どこで結果が分かれているかを見ることです。

全体的な傾向は一貫してマイナスです。Ahrefsは30万キーワードを比較し、AIによる概要が表示されるクエリでの1位のオーガニック結果のCTRが、2023年12月の7.3%から2025年12月には1.6%に下がったことを示しました。概要がなかった場合の予測値と比べると、58%の減少です。Pew Research Centerは米国の成人900人による実際のGoogle検索68,879件を追跡し、AI要約が表示された場合に従来の検索結果がクリックされたのは訪問の8%、表示されない場合は15%だったと報告しました。要約内のリンクがクリックされたのは、訪問のわずか1%でした。

Seer Interactiveの15か月にわたるパネル調査は、ブランドにとって重要なニュアンスを加えています。AIによる概要の中で引用されれば、損失は大きく和らぎます。

AIによる概要で引用されたブランドは、オーガニッククリックが35%多い

クエリの種類別の平均クリック率(2025年9月)

出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: September 2025 Update」2025年11月4日。42組織の3,119クエリ、オーガニック2,510万インプレッション、有料110万インプレッション、2024年6月〜2025年9月。行にカーソルを合わせるかタップしてください。

一方で、逆の結果を示す研究もあります。Amsiveは2025年に10サイト・70万キーワードを分析し、AIによる概要が表示されると平均CTRは15.5%下がる一方、概要付きの指名キーワードではCTRが18.7%上昇したと報告しました。最も考えられる説明は、当時は指名クエリでのAIによる概要がまれで、主にブランドに関する情報型の質問で表示されていたというものです。ブランド名を挙げてリンクする要約は、より意欲の高い訪問者を送り込むことができます。

ここが最大の不確実性です。Amsiveの結果は、AIによる概要が指名需要のごく一部しかカバーしていなかった時期に計測されました。9月の拡大は、ユーザーがトップページだけを求めている検索も含め、指名需要の中心部にまで概要を押し広げています。小さなプラス効果がマイナスに転じるかどうかは、どのブランドも推測ではなく計測すべき問いです。

調査範囲結果指名検索との関連
Ahrefs(2026年2月)30万キーワード、2023年12月 vs 2025年12月概要が表示されると1位のCTRが予測値より58%低い主に情報型クエリ。指名は個別に分析されていない
Seer Interactive(2025年11月)3,119クエリ、42組織、15か月概要付きクエリでオーガニックCTRが61%減少。引用ブランドはクリックが35%多い引用はブランドが影響を与えられる要素
Pew Research(2025年7月)米国成人900人による68,879件の検索要約ありで8%、なしで15%が結果をクリック。要約内リンクのクリックは1%行動ベースで、クエリの種類は区別していない
Amsive(2025年)70万キーワード、10サイト概要付きの指名キーワード:CTR +18.7%指名検索での表示拡大前の計測
DemandSphere(2026年10月)指名キーワード、日次、全市場2026年9月に表示率が26%から82%へ表示率のみ。クリックデータなし

自社ブランドへの影響を試算する

根拠となるデータは18.7%の増加から半分以上の減少まで幅があるため、有用なのは単一の予測ではなく感度分析です。下の計算ツールは、月間の指名検索数と現在の指名CTRを入力し、AIによる概要が表示される検索の割合を適用したうえで、その検索でCTRがどれだけ変化するかを選べるようにしています。まずはSearch Consoleの指名クエリフィルタで自社の数値を確認してください。

9月の変化で、指名クリックはどれだけ動くのか

シナリオモデルです。スライダーを動かすか、研究に基づくシナリオを選んでください。

9月1日の表示率(26.1%)での月間指名クリック数
設定した表示率での月間指名クリック数
月間クリック数の変化

モデル:クリック数 = 検索数 × CTR × [(1 − 表示率) + 表示率 × (1 + CTR変化)]。基準表示率26.1%はDemandSphere(2026年9月1日)による。シナリオ値はAmsive(2025年)、Seer Interactive(2025年)、Ahrefs(2026年)より。9月の拡大後の指名クエリを計測した研究はまだないため、結果は予測ではなく幅として扱ってください。

たとえば、月間30,000件の指名検索をCTR 55%で獲得しているブランドで試算してみましょう。AIによる概要が表示された検索でCTRが20%下がるとすると、表示率が26%から82%に上がることで、月におよそ1,850クリックを失います。Amsiveのパターンが当てはまり、指名検索の要約がCTRを押し上げるなら、同じ拡大でクリックは増えます。この両極の差こそが、推測ではなく計測すべき最大の理由です。

インドネシアのブランドにとっての意味

DemandSphereのデータは全市場を対象としていますが、インドネシアを個別に分けていません。そのため、今回の拡大がインドネシアのブランド検索結果にどこまで及んでいるかはまだ断定できません。それでも、次の3つの事実から、ローカルブランドは確認を待つより影響を受けている前提で動くべきだと言えます。

  • Googleが事実上市場のすべて。StatCounterによると、2026年9月のインドネシアの検索シェアはGoogleが92.26%、Bingが3.05%です。指名需要がこの変化を避けられる代替チャネルは実質的に存在しません。
  • 機能はすでにローカライズされている。AIによる概要は2024年9月5日にインドネシアでインドネシア語により提供開始されました。AIモードも2025年9月にインドネシア語に対応しています。
  • インドネシアのブランド検索は質問型が多い。ブランド名にharga(価格)、promo、cabang terdekat(最寄り店舗)、halal、cara refund(返金方法)、vsを組み合わせたクエリは一般的で、まさに生成回答が表示されやすい指名クエリです。

現地特有の正確性リスクもあります。AIによる概要は、Googleが関連性があると判断したあらゆる情報源から回答を組み立てます。マーケットプレイスの出品ページ、フォーラムのスレッド、ニュース記事、古いプレスリリース、レビューサイトなどです。価格や店舗、ポリシーが頻繁に変わり、公式サイトの情報が薄い、または更新が遅いブランドの場合、要約が古い第三者情報に基づいてブランドを説明してしまう可能性があります。ブランドはクリックを失うだけでなく、自らの説明のされ方に対するコントロールも失います。

今後30日間の実践的な点検

1. 自社の指名検索結果をクエリの種類別に確認する

ブランド名単体で検索し、次に顧客が実際に使う語を組み合わせて検索します。価格、プロモーション、所在地、レビュー、苦情、返金、採用、そして主要競合との「vs」です。スマートフォンで、ログアウトした状態で、インドネシア語と英語の両方で行ってください。どのクエリでAIによる概要が表示されるか、その内容、引用元を記録します。

2. Search Consoleでナビゲーショナル型と情報型の指名需要を分ける

指名クエリフィルタを使い、ブランド名単体のクエリとブランド名+修飾語のクエリに分けます。9月以降、それぞれのCTRを毎週確認してください。表示回数が安定したままCTRが下がっていれば、回答がクリックを横取りしているサインです。

3. 公式の答えを引用されやすくする

Seerのデータは、引用こそブランドが実際に影響を与えられる変数であることを示唆しています。価格、店舗所在地と営業時間、各種ポリシー、製品仕様、事実に基づく会社概要など、よく尋ねられる情報について、明確で最新かつクロール可能なページを公開しましょう。OrganizationおよびProductやLocalBusinessなど該当する構造化データを追加し、Googleビジネスプロフィールの情報をサイトと一致させてください。

4. 第三者上の情報を整理する

古いマーケットプレイスの出品、放置されたSNSアカウント、過去の報道は、要約の情報源になり得ます。自社で管理できるものは更新し、ディレクトリやレビューサイトで修正可能なものは修正しましょう。

5. 指名キーワードの広告を見直す

Seerの調査では、AIによる概要が表示されるクエリの有料広告CTRは15か月で68%低下しました。自社ブランド名に入札している場合は、9月下旬の前後で指名キャンペーンのCPCとCTRを比較し、防衛的な広告費が今もコストに見合っているか判断してください。

指名クエリの種類例AIによる概要のリスク優先すべき対応
ナビゲーショナル型「[ブランド]」「[ブランド] ログイン」中程度。ユーザーは通常サイトを訪れたいCTRを毎週確認し、サイトリンクとタイトルを整える
事実確認型「[ブランド] harga」「[ブランド] 営業時間」高い。一文で答えられてしまう公式ページで最新の構造化された情報を公開する
評価型「[ブランド] 評判」「[ブランド] 安全?」高い。要約がフォーラムや苦情を引用する可能性引用元を点検し、可能な範囲で対応する
比較型「[ブランド] vs [競合]」高い。要約が比較の枠組みを決める明確な基準を示した公正な比較ページを公開する
サポート型「[ブランド] 返金方法」高い。サイト訪問なしで解決されやすいヘルプページをクロール可能かつ最新に保つ

より大きな変化

検索マーケティングは長らく、需要を「獲得するもの」と「所有するもの」に分けてきました。9月のデータは、その境界が曖昧になりつつあることを示しています。ブランド名の検索でブランド自身のサイトより上に生成要約が表示されるなら、指名検索もまた、ブランドがさまざまな情報源によって表現される場の一つになります。ブランドの役割は、それらの情報源の中で最も信頼できる存在になることへと移っていきます。

居心地のよい立場ではありませんが、計測は可能です。最も早く適応するのは、指名検索結果を「当然安全なもの」ではなく「点検すべきもの」として扱い始めるブランドでしょう。ゼロクリック検索の変遷をより広く知りたい方は、以前の分析記事ゼロクリック時代とAIでの可視性もご覧ください。

よくある質問

2026年9月、指名検索のAIによる概要に何が起きたのですか?

DemandSphereによると、追跡対象の指名キーワードのうちAIによる概要が表示された割合は、2026年9月1日の26.1%から9月29日には82.1%に上昇し、9月27日に90.5%のピークを記録しました。Googleはこの変更を発表していません。

ブランド検索にAIによる概要が表示されると、公式サイトへのクリックは減りますか?

9月の拡大についてはまだ計測されていません。一般的な研究ではAIによる概要付きのクエリでCTRが大きく下がっていますが、Amsiveは2025年、こうしたケースがまだ少なかった時期に、概要付きの指名キーワードでCTRが18.7%上昇したと報告しています。結論を出す前に、Search Consoleで指名CTRを追跡すべきです。

インドネシアでAIによる概要は使えますか?

はい。Googleは2024年9月5日にインドネシアでインドネシア語のAIによる概要を、2025年9月にインドネシア語のAIモードを提供開始しました。

自社名のAIによる概要で引用されるにはどうすればよいですか?

ブランド名と一緒に検索される質問について、公式ページで明確かつ最新の答えを公開し、構造化データを使い、Googleビジネスプロフィールなどの掲載情報を一致させ、古い第三者情報を修正しましょう。Seer Interactiveによると、引用されたブランドは引用されていないブランドよりオーガニッククリックが35%多くなります。

Google Search ConsoleでAIによる概要経由のトラフィックを個別に確認できますか?

できません。Search ConsoleはAIによる概要の表示回数やクリック数を独立した検索での見え方として報告していません。指名クエリフィルタでCTRの推移を確認し、AIによる概要の表示を記録するランクトラッカーを併用してください。

Google広告で自社ブランド名への入札を続けるべきですか?

データに基づいて見直しましょう。Seerによると、AIによる概要付きクエリの有料広告CTRは2024年6月から2025年9月の間に68%低下しました。予算を変える前に、2026年9月下旬の前後で指名キャンペーンの成果を比較してください。

出典

Soedja Editorial Team

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