要点
- AIの引用(サイテーション)は本質的に不安定だ。約3万7,500件の引用を20日間追跡したAhrefsの調査では、初日に引用されたサイトの50〜83%が翌日には消えていた(プラットフォームにより異なる)。GoogleのAIツールとChatGPTで20日間ずっと引用され続けたのは4〜7%にすぎない。
- 失われた引用の多くは一時的なものだ。約4分の3は20日以内に復活し、1週間以上続いた引用はほぼ必ず戻ってきた。
- SISTRIXによる9万6,418件のURLの別調査では、ページ構造が引用されやすさと関連していた。目次(1.7倍)、Articleスキーマ(1.6)、明確なH2構成(1.6)、FAQスキーマ(1.5)などだ。llms.txtには測定可能な効果がなかった。
- 関わるトラフィックはまだ小さい。100サイトのデータでは、ChatGPTからの訪問はGoogleオーガニックのセッションの0.62%に相当した。ただし、その訪問者のコンバージョン率ははるかに高かった。
同じ質問でも、答えは毎日変わる
ChatGPT、Gemini、GoogleのAIモードに同じ質問を2日続けてすると、引用される情報源が異なることが多い。これまでは体験談にすぎなかったが、2026年10月に公表された二つの調査が、その実態と、そもそもどんなページが引用されやすいのかを数字で示した。
一つ目はAhrefsが10月29日に公表した調査で、五つのAIツールに同じ質問を20日間毎日投げかけ、初日に引用されたすべてのサイトを追跡した。対象はGoogle AI Overviews、AIモード、ChatGPT、Gemini、Copilotで、7,831の質問と約3万7,500件の引用を含む。二つ目はSISTRIXが10月22日に公表した調査で、ChatGPT、AIモード、AI Overviewsに引用された4万8,527ページを、同じドメインの引用されなかったページと比較した。合計9万6,418件のURLから、どのページ要素が引用と関連するかを調べている。
両者を合わせると、「AIでの可視性」を追う人にとって重要な二つの問いに答えが出る。ある日に見える結果のどこまでがノイズなのか、そしてどのページ改善に取り組む価値があるのか、である。
50〜83% 翌日に消えた初日の引用の割合(プラットフォームにより異なる、Ahrefs)
約75% 20日以内に復活した、失われた引用の割合
2.1倍 構造的な要素を多く備えたページの引用率(ほぼ最適化されていないページとの比較、SISTRIX)
AIの引用の多くは1日で消え、ごく一部が数週間続く
初日に引用されたサイトのその後(プラットフォーム別)。表示を切り替えると、失われた引用がどれだけ戻ったかがわかります。
出典:Ahrefs「How Stable Are AI Citations? 10 Things We Learned Tracking 37,500 Citations」2026年10月29日。同じ質問を20日間毎日実施、質問数は計7,831。継続期間の区分は、2日目までに消えた割合、1週間以上続いた割合、20日間続いた割合から算出。二つ目の表示は、十分なデータのある3プラットフォームについて、調査期間内に戻らなかった割合を示す。
なぜ引用は入れ替わるのか
この変動は、主にAIが検索内容を書き換えることから生じているわけではない。ChatGPTなどのツールは、一つの質問を裏側で複数の検索に分解する。これはクエリ・ファンアウトと呼ばれる。Ahrefsによると、ChatGPTが前日とまったく同じファンアウト検索を繰り返したのは26%にすぎなかった。しかし検索内容が同じでも、引用されたサイトは81%の割合で入れ替わり、検索内容が変わった場合は91%だった。入れ替わりの大半は、検索の後、つまりモデルが見つけたページのどれを引用するか選ぶ段階で起きている。
GeminiとCopilotにはもう一つの要因がある。この調査では、Geminiの回答の64%、Copilotの回答の53%がまったく情報源を引用しなかった。ChatGPT、AI Overviews、AIモードではいずれも1%未満だった。AI Overviewは通常10件、AIモードは9件の情報源を引用するのに対し、ChatGPTは4件だ。GeminiとCopilotでは、見かけ上の「消失」の多くは単にどこも引用しなかった日であり、「復活」の多くは再び引用を始めた日だった。
質問の種類も影響する。「おすすめのX」のような質問は、多くのページが回答を競うため、引用の変動が最も大きい部類に入った。最も安定していたのはブランド名を含む質問だ。質問がブランド名を含む場合、そのブランド自身のサイトが20日間すべて引用されたのは28〜33%で、引用サイト全体の4〜7%を大きく上回った。Ahrefs自身についての22問の小規模テストでは、事実に関する質問ではほぼ毎日自社サイトが引用されたが、Googleのツールでは、レビューや比較の質問になると第三者サイトに置き換わり、ほとんど引用されなかった。
| 1ブランドに関する質問の種類 | AI Overviews | AIモード | ChatGPT |
|---|---|---|---|
| 事実(7問) | 97% | 100% | 100% |
| レビュー(3問) | 5% | 5% | 97% |
| 比較(12問) | 0% | 5% | 71% |
ブランド自身のサイトが引用された日の割合、2026年8月28日〜10月4日。出典:Ahrefs。サンプルは小さく、1ブランドのみが対象。
リンクよりブランド名の方が安定している
マーケターにとって特に有用なのは、ブランド名の方が、そのブランドのサイトへのリンクよりも回答に長く残る傾向があるという発見だ。どのプラットフォームでも、引用されたサイトの大半は回答本文で名前が挙げられていなかった。AIモードで84%、ChatGPTで54%だ。また、引用が翌日に消えても、ブランド名はまだ挙げられていることがあった。Geminiではその割合が40%に上った。Ahrefsによると、引用されたサイトの50〜70%は1日しか登場しなかったが、ブランド名ではおよそ5件に1件にとどまった。
他の調査でも同じ集中が見られる。2026年5〜8月にChatGPT、Gemini、Perplexityで20ブランドについて1万7,691回のプロンプトを実行したRefineは、上位20%のブランドが全言及の67%を占め、ブランドとプラットフォームの組み合わせの36%では一度も言及されなかったと報告している。同じブランドが、あるエンジンでは75%を超え、別のエンジンではほぼゼロということもあった。研究者らは、ブランドへの選好ではなく情報取得の仕組みの違いが原因だとみている。
1日の引用からわかることは少ない。1週間続いた引用からは多くがわかり、ブランドの言及はそのどちらよりも多くを物語る。
引用されやすいページとは
SISTRIXの調査は、この問題をページの側から見ている。同じドメインの引用されたページと引用されなかったページを比較するため、この種の分析で最大の交絡要因となりがちなブランド力の影響を排除できる。43の要素を条件付きロジスティック回帰で検証した。係数1.5は、その要素が引用されたページで、比較対象の引用されなかったページの約1.5倍多く見られたことを意味する。
最も効いていたのは構造だ。目次(1.7)、Articleスキーマ(1.6)、5つ以上のH2見出し(1.6)、FAQPageスキーマ(1.5)、見出し行のある表(1.5)、10個以上の箇条書き(1.5)は、いずれも引用の多さと関連していた。信頼性のシグナルも同様で、写真付きの著者ボックス(1.4)、表示された最終更新日(1.3)、10本以上の外部リンク(1.3)が挙げられる。単独で最も強いシグナルはタイトルに含まれる当年の年号で2.7だったが、SISTRIXはタイトル関連の効果をまだ暫定的なものとしている。
小手先より構造
ChatGPT、AIモード、AI Overviewsに引用されたページで、同じサイトの引用されなかったページに比べて各要素がどれだけ多く見られたか。縦線は1.0(差なし)を示します。
出典:SISTRIX「Citation Worthiness: Which GEO Tactics Hold Up Across 96,418 URLs」2026年10月22日。DACH地域(2026年第2四半期)の引用された4万8,527ページを、同じドメインの引用されなかったページと対にして比較。条件付きロジスティック回帰。数値はオッズ比で、引用率約1.4%ではほぼ頻度比に等しい。相関であり因果の証明ではない。llms.txtは、llms.txtを持つドメインからの引用URLの割合11.7%と全ドメインの14.0%の比として表示。
同じくらい興味深いのは、効果がなかったものだ。AIクローラーに読むべき内容を伝えるために提案されたファイルであるllms.txtには、何の優位性もなかった。引用されたURLのうちllms.txtを持つドメインからのものは11.7%で、全ドメインの14.0%を下回った。読みやすさのスコアも差を生まなかった。Productスキーマは引用の少なさと関連し(0.8)、Recipeスキーマははるかに少なかった(0.1)。これはマークアップそのものというより、AIツールが好んで引用するのが解説や説明だということを示している。ECサイトでは、商品ページを最適化するより、Articleスキーマを付けた解説コーナーを設けた方が成果が良かった。
これらを組み合わせると効果は積み上がる。11の主要要素の多くを満たすページは、ほとんど最適化されていないページの2.1倍引用されたが、引用されたページのうちそれを満たしていたのは10%にすぎない。SISTRIXはこの分野そのものにも警鐘を鳴らしている。同社の検証では、833件のURLのサンプルではFAQスキーマがマイナス要因に見えたが、全サンプルではプラスだった。結果が一方向に安定したのは約5,000件のURLからであり、それより小さいGEO調査は疑ってかかるべきだという。
二つの調査は、どんなマークアップよりも重要な一点で一致している。Ahrefsによると、AI OverviewsとAIモードでは、その質問でGoogleの検索結果に順位がついているページは、そうでないページに比べて1週間引用され続ける可能性が約7倍高かった。オーガニックトラフィックの多いページほど長く引用され、ドメインレーティングや被リンクの影響はほとんどなかった。ページのタイトルと説明文が質問とよく一致していることも、引用の長続きと関連していた。GoogleのAIツールにとっては、従来型の良質なSEOが今も仕事の大半を占める。
実際にどれだけのトラフィックがかかっているのか
引用の安定性が重要なのは、その背後にあるトラフィックと収益の分だけだ。この点に関する10月のデータは冷静さを促す。Marie Haynes氏が100サイトの12カ月分のGA4データを分析したところ、ChatGPTからのセッションはGoogleオーガニックのセッションの0.62%、すべてのAIアシスタントを合わせても0.73%だった。英国の95サイトを調べたThe SEO Worksは、オーガニック検索がAIの39倍のトラフィックを送っていたとしている。米国のデスクトップ利用者1万6,310人のマッチングパネルを使ったiPullRankは、AIが一般的な利用者の検索に占める割合は2.7%にすぎないと報告した。
一方で、実際に訪れる人のコンバージョン率は高いことが多い。Haynes氏のサンプルでは、ChatGPTからの訪問者のコンバージョン率は13.8%で、Googleオーガニックの3.02%を大きく上回った。それでも全コンバージョンの96.5%はGoogleオーガニックによるものだった。下の計算ツールは、この比率を自サイトの数字に当てはめるものだ。一つのサンプルに基づく例示であり、予測ではない。
AIからの流入は自サイトにとってどれほどの価値があるか
月間のGoogleオーガニックセッション数を設定してください。100サイトで測定された比率を当てはめて推計します。
出典:Marie Haynes氏による100サイト(1億4,500万セッション超)の12カ月分のGA4データ分析、2026年10月21日報告。ChatGPTのセッションはGoogleオーガニックの0.62%、コンバージョン率はChatGPT 13.8%、Googleオーガニック3.02%(コンバージョンを計測している55サイト)。コンバージョンはGA4のキーイベントであり、収益ではない。結果はサイトにより大きく異なり、The SEO Worksは63サイト中23サイトでAIのコンバージョン率がオーガニックを下回ったとしている。
そのわずかな部分を測ることさえ難しくなっている。SISTRIXによると、10月9日から16日にかけて、画面表示の変更後に多くのChatGPTのリンクからutm_source=chatgpt.comのタグが外れた。これらのリンクはリファラーを渡さないため、訪問はダイレクトトラフィックとして記録された。GoogleはGeminiの引用リンクに9月初めからutm_source=geminiを付けていたが、9月28日ごろに告知なく停止した。iOS版Geminiアプリから開いたリンクにはリファラーがまったくないため、これらの訪問もGA4ではダイレクトになる。12のGA4プロパティを調べたKevin Indig氏は、2026年にダイレクトトラフィックが急増した一方で、AIでの可視性との確かな関連は見られなかったとしている。
インドネシアのサイトにとっての意味
これらの調査はいずれもインドネシアのデータを使っていない。Ahrefsの質問は主に英語で、SISTRIXのサンプルはドイツ語圏の国々のものだ。この点は重要で、インドネシア語の質問で競合するページの数は少なく、AIツールの振る舞いも異なる可能性がある。GoogleのAIモードは2025年9月からインドネシアでインドネシア語により提供されており、AI Overviewsはそれ以前から利用できる。したがって、正確な数字は異なっても、同じ力学がここでも働く。
実務上の教訓はそのまま当てはまる。1日分のAI可視性レポートはほとんどがノイズであり、意味のある指標は、直近7日間のうち何日ページやブランドが引用されたか、名前を挙げられたかだ。1週間続いた後に消えた引用は戻ってくる可能性が高いが、1日しか続かなかった引用は戻らないかもしれない。GoogleのAIツールでは、Google検索での順位が引用され続けることの最も強い予測因子であり続けている。そして、引用と関連するページの要素、つまり明確な見出し、目次、本物のFAQ、著者情報、更新日は、人にとってページを読みやすくする要素と同じだ。ブランド名検索におけるAI Overviewsの分析で、AIの回答が検索結果をどれほど占めるようになったかを見てきた。今回の調査は、その回答の背後にある情報源がいかに不安定かを示している。
今後の注目点
- SISTRIXの続報。研究者らは第2弾の調査を計画している。DACH地域以外や、Perplexity、Claude、Geminiアプリでも同じ結果が出れば、知見の一般性ははるかに高まる。
- 計測の改善。OpenAIとGoogleがAIリンクに一貫したUTMタグやリファラーを戻すのか、それともAIからのトラフィックがダイレクトに埋もれ続けるのか。
- AI回答内の広告。GoogleはAIモードの広告をより多くの国に広げ、ChatGPTも広告フォーマットを拡大している。回答内の有料枠は、オーガニックな引用に残される余地を変える可能性がある。
- インドネシア語のデータ。インドネシア語の検索について引用の安定性を測った公表済みの調査は、まだない。
よくある質問
AIの引用はどれくらい安定していますか?
あまり安定していません。約3万7,500件の引用を20日間追跡したAhrefsの調査では、AI Overviewsの引用の50%、AIモードの58%、ChatGPTの59%、Geminiの81%、Copilotの83%が翌日には消えていました。GoogleのツールとChatGPTで20日間すべて続いたのは4〜7%だけです。
失われたAIの引用は戻ってきますか?
多くの場合は戻ります。失われた引用の約4分の3が20日以内に、約半分が3日以内に戻りました。1週間以上続いた引用はほぼ必ず戻りましたが、1日だけの引用の約3分の1は二度と戻りませんでした。
どのようなページ要素がAIの引用の多さと関連していますか?
SISTRIXによる9万6,418件のURLの調査では、最も強い構造的シグナルは目次(1.7倍)、Articleスキーマ(1.6)、5つ以上のH2見出し(1.6)、FAQPageスキーマ(1.5)、見出し行のある表(1.5)でした。写真付き著者ボックス、表示された更新日、外部リンクも効果がありました。これらを多く備えたページは2.1倍引用されました。
llms.txtはAIに引用されるのに役立ちますか?
SISTRIXのデータでは役立っていません。引用されたURLのうちllms.txtを持つドメインからのものは11.7%で、全ドメインの14.0%を下回り、測定可能な優位性はありませんでした。
Googleでの順位はAIに引用されるのに役立ちますか?
Google自身のAIツールについては役立ちます。Ahrefsによると、その質問でGoogleの順位がついているページは、AI OverviewsとAIモードで1週間引用され続ける可能性が約7倍高くなりました。オーガニックトラフィックも引用の長さと関連していましたが、ドメインレーティングや被リンクは関連していませんでした。
ChatGPTはサイトにどれくらいのトラフィックを送っていますか?
比較的少量です。Marie Haynes氏によると、100サイトでChatGPTからのセッションはGoogleオーガニックの0.62%でした。英国の95サイトを対象とした別の調査では、オーガニック検索がAIの39倍のトラフィックを送っていました。ただし最初のサンプルでは、ChatGPTからの訪問者のコンバージョン率の方が高くなっていました。
なぜAIからのトラフィックはGA4でダイレクトとして記録されるのですか?
一部のAIリンクにはリファラーも計測タグも付いていないためです。ChatGPTのリンクは2026年10月に約1週間UTMタグを失い、GoogleはGeminiのリンクへのUTMタグ付与を9月28日ごろに停止し、iOS版Geminiアプリはリファラーなしでリンクを開きます。
出典
- How Stable Are AI Citations? 10 Things We Learned Tracking 37,500 Citations, Ahrefs, 2026年10月29日
- Citation Worthiness: Which GEO Tactics Hold Up Across 96,418 URLs, SISTRIX, 2026年10月22日
- What changed in ChatGPT in October: GPT-6, UTM tracking and sources, SISTRIX, 2026年10月
- 17,691 AI Answers: 20% of Brands Took Two Thirds of the Visibility, Refine, 2026年8月27日
- AI Search Traffic Studies (October 2026)(Marie Haynes、The SEO Works、Kevin Indig、Semrushの調査の要約)
- How the Same 16,000 Users Behave in AI Search vs. Google, iPullRank, 2026年10月29日
- Google Gemini Stopped Attaching UTM Parameters To Cited URLs, Search Engine Roundtable, 2026年10月30日
- Google AI Overviews & AI Mode 0.9% Click-Through Rate, Opt Out Study Says, Search Engine Roundtable, 2026年10月30日
- Google Search: Memperkenalkan Mode AI di Indonesia, Google Indonesia, 2025年9月9日
Editorial Team









