ROASとは、return on ad spendの略で、広告が生んだ売上を広告費で割った比率のことです。計算式はシンプルで、売上÷広告費です。日本ではパーセント表記が一般的で、ROAS 400%は広告費1円が売上4円を生んだことを意味します。
要点まとめ
ROASは広告の費用対効果を測る指標で、売上を広告費で割って求める。
良いROASの基準は一律ではなく、商品の粗利率から目標を決める。
損益分岐ROASは「100 ÷ 粗利率(%)」で計算できる。
ROASは広告費のみを対象とする点でROIと異なる。
ROASは入札戦略、CTR、CVRなどコントロール可能なレバーで改善できる。
ROASとは何か
経営者が広告チームに最もよく尋ねる問い、この広告費はいくらになって戻ったのか、に答えるのがROASです。インプレッションやクリック、CTRは過程を説明する指標で、ROASは最終結果をお金の言葉で説明する指標です。
計算式は次のとおりです。
ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100%
海外では4xや4:1のように倍率で書くことも多く、意味は同じです。
ROASの計算方法
一定期間に広告が生んだ売上を、同じ期間の広告費で割ります。
ECの例。 あるオンラインショップが1ヶ月に10万円を広告に使い、広告経由の売上が45万円でした。ROASは45万÷10万で450%(4.5倍)です。
サービス業の例。 あるコンサルティング会社がリード獲得広告に5万円を使い、20件のリードのうち4件が成約、契約総額は30万円でした。ROASは600%です。サービス業ではリードの経路を成約まで追跡することが鍵です。それがないと広告経由の売上と自然流入の売上を分けられません。
ROASを狂わせるのは計算式ではなくアトリビューションです。GoogleとMetaが同じ購入を二重にカウントしていないか、必ず確認してください。
良いROASはどのくらいか
万能の数字はありません。ROAS 400%は高粗利商品なら十分な利益でも、薄利商品なら赤字です。正しい目標設定は損益分岐ROASから始まります。
損益分岐ROAS = 100 ÷ 粗利率(%)

粗利率別の損益分岐ROASシミュレーション。ラベルはインドネシア語、公開前に日本語化。
読み方はこうです。粗利率20%の商品は損益分岐だけでROAS 500%(5倍)が必要です。粗利率60%の商品は167%(1.67倍)ですでに黒字です。粗利の文脈なしに他社とROASを比べても意味がない理由がここにあります。
粗利率 | 損益分岐ROAS | 健全な目安(分岐点の約1.5倍) |
|---|---|---|
20% | 500%(5.0倍) | 750%以上 |
30% | 333%(3.33倍) | 500%以上 |
40% | 250%(2.5倍) | 380%以上 |
50% | 200%(2.0倍) | 300%以上 |
60% | 167%(1.67倍) | 250%以上 |
健全な目安は、運営コストと利益の余地を確保するためのざっくりした基準として分岐点の1.5倍を使っています。自社のコスト構造に合わせて調整してください。
マーケトプレイス広告のROAS
原則は同じですが、楽天やAmazon、東南アジアのShopeeなどモール型広告には特有の注意点があります。
管理画面のROASは広告に紐付いた売上÷広告費で自動計算されるため、計測設定なしで確認できる。
損益分岐の計算には販売手数料や送料負担、プラットフォームのコミッションを引いた実質粗利を使う。
アカウント単位だけでなくSKU単位でROASを計算する。同じ店でも粗利の違う商品には違う目標が必要。
検索連動型の広告はレコメンド果の広告より購買意図が成熟しているため、ROASが高くなりやすい。予算追加の前に両者を比較する。
ROASとROIの違い
観点 | ROAS | ROI |
|---|---|---|
計算式 | 広告売上 ÷ 広告費 | (利益 − 総コスト)÷ 総コスト |
対象コスト | 広告費のみ | 商品原価、運営、代理店フィーまで全コスト |
意思決定のレベル | 戦術的、キャンペーンとチャネルの評価 | 戦略的、事業全体の評価 |
適した用途 | 日々の最適化とキャンペーン間の予算配分 | 経営層との月次・四半期レビュー |
どちらかを選ぶのではなく併用します。今週どのキャンペーンを止めるかはROASで、広告チャネル自体を続けるかはROIで判断します。
ROASを改善する方法
ROASは下流の指標です。上流のレバーを動かすと数字が変わります。
入札戦略を見直す。 目標ROASを使ったスマート入札は、コンバージョンデータが十分にたまって初めて機能する。
CVRを上げる。 遅いLPや長すぎるフォームは、すでに支払ったクリックを捨てている。
コピーとクリエイティブでCTRを改善する。 健全なCTRは品質スコアを通じてクリック単価を下げる。
トラフィックの質を落とさずにCPCを下げる。 間違ったオーディエンスからの安いクリックは結局ROASが低い。
配信面とCPMを監査する。 成果の出ない配信面の高いインプレッションは静かに予算を削る。
平均注文単価を上げる。 バンドルとアップセルは広告費を足さずに1コンバージョンあたりの売上を上げる。

キャンペーン最適化前後のROAS比較、Soedjaクライアントデータ。ラベルはインドネシア語、公開前に日本語化。
チャートが示すのは私たちが繰り返し見てきたパターンです。ROASの大きな改善は1つの大きな変更からではなく、キャンペーン構造、入札、LPという小さなレバーを順番に直した結果として生まれます。
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よくある質問
良いROASはどのくらいですか?
商品の粗利率次第です。最低ラインは損益分岐ROASで、100÷粗利率(%)で計算できます。粗利率25%の商品なら損益分岐は400%で、健全な目標はその上になります。
ROASとROIの違いは何ですか?
ROASは広告売上と広告費だけを比較し、ROIは全コストに対する利益を測ります。キャンペーン間の戦術判断はROAS、全体評価はROIです。
ROASはどう計算しますか?
同じ期間の広告経由売上を広告費で割ります。広告費10万円で売上45万円ならROASは450%です。
まとめ
ROASは広告運用のすべての仕事をひとつの回収指標に翻訳します。そしてその数字は、自社商品の粗利から導いた損益分岐点と比べて初めて意味を持ちます。まず分岐点を計算し、目標を立て、レバーを一つずつ動かしていきましょう。
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Editorial Team





